トランスフォーマーマイクロン伝説

前回、ユニクロン体内で、その意識体であるダブルフェイスを倒し、
(やっぱりダブルフェイスはクライシス皇帝に対するダスマダー
みたいなもんだったのな)
大団円…かと思ったら、そうはならず、コンボイとの決着を求める
メガトロン。そして2人のバトルが。

とてつもなく熱い。凄い。
 
司令官の責任をマトリクスと共にに投げ捨てて、
「自分の心に正直に」メガトロンとの戦いを望むコンボイ
前回のダブルフェイスの言葉は彼の本心を的確に突いてたんだな。
これまで、常に綺麗事が過ぎると言えるほど理想を掲げて、
それを貫いてきたコンボイのこの選択は衝撃的だ。
スタースクリームの死は無駄だったの?!」という
アレクサの言葉ですらこの対決は止められない。
止められないのだけど、コンボイだけでなく、
メガトロンにも翻意させようと言葉をかけ続ける子供たちの
姿はよい。
この戦いの中に彼らがあった意味が伝わってくるじゃないか。
 
そして最後の戦いを繰り広げる2人。
正直、アクションシーンにはさほど見るべきところのなかった本作だが、
このコンボイとメガトロンのバトルは全くの別物。
双方なりふりなど構わない。ただただ死力を尽くす、そんな戦い。
なんとコンボイの不意打ちから始まり、銃撃戦もそこそこに、肉弾相打つ
サブタイ通りのまさに「死闘」を見せてくれる。
メガトロンが角での頭突きと電撃というプルートウばりの攻撃を見せれば、
コンボイはその角を折って武器として使う、メガトロンのキャタピラをむしる、
そしてこちらはロビンマスクばりのタワーブリッジまで繰り出す。
メガトロンの隠し武器のナイフもここに来て使用されるし。
(玩具付属のギミック)
ダーティとも見えるコンボイの狂暴なファイトは、反則の封印を解いた
タイガーマスクの姿を彷彿とさせるが(古い喩えでなんだが)タイガーの
ファイトと違うのは、二人がまさに好敵手だということ。
戦いの中にあって歓喜しているようにしか見えないその姿(メガトロンは
まんま表情に出しちゃってるんだが)は「戦うために生まれた」彼らの
業なのかもしれないが、それだけにその生命を丸ごと燃やし尽くさん
ばかりの勢いに圧倒される。
  
死闘も果て、最後の時。
メガトロンに救いの手を差し伸べるコンボイ
「確かに、我らトランスフォーマーは戦う為に生まれてきた戦士。
だが、私は戦いの中にも光を見続けたいのだ。
勝ち残るのが正義ではなく、正義が勝つのだ。」
「それもよかろう。だが、戦いの中からしかその言葉を導き出す事が
出来なかったことを、覚えておけ。」
そしてコンボイにつかまれた自らの手を切断して落ちていくメガトロン。
  
このやり取りに全てが集約されていると思う。
戦いを求める業。その中から正義を見出そうとする理想。その相克。
  
ラスト、実は滅んでおらず健在な姿を見せるユニクロンが、
サイバトロンデストロンの戦いを糧として生きていることを思えば、
相克とはいえ現実にどちらが優位なのかは明らかだが、
もし続編でここを更に昇華してくれるようだと、
もう脱帽というしかない。
用意に解答が出せるような問題ではないのは承知だが。
 
2人のバトル以外にも見るべきところはある。
脇に回ってしまった感はあるが、TF全軍を託された
ホットロッドの見違えるような頼もしさ。
彼がいるから、コンボイも最後に全ての責任を放擲して、
メガトロンとの対決を選べたんだろう。
描かれ方にムラはあったけど、マイクロン伝説は
ルーキー・ホットロッドの成長物語という側面が
強かったので、感慨も一入だ。
元メガトロン幕下の面々まで彼を支持するあたりは
ホットロッドの成長と、戦いの果てに確かに融和が
なったことを示してくれる。
コンボイとメガトロンの姿と引き比べて見ると
これもまた深い。
最後に一人宇宙を漂うコンボイは、側を流れて行く
マトリクスに再び手を伸ばそうとはしない。
 
デバスター師匠には肉弾戦での見せ場が欲しかったよなとか、
ウィリーたち以外のマイクロンにももうちょっとスポットが
当たると良かったなとか、アレが見たかったコレが見たかったと
いうのはいくらでもあるし、突っ込もうと思えばアラもいくらでも
あるんだけど、冗談でなくそんな瑣末事はどうでもいいやと
思わせてくれる最終回だった。
まだ興奮がレアだからということもあるけど、近年のマイベストの
一つなのは間違い無い。
 
ちょっとこの印象が強烈すぎるので、次のスーパーリンク
続き物とはいえひとまず頭リセットして見るようにしないと。
予告見たところではキャラなどは大向こうに受ける感じになってるので
(しかし変わりすぎだろ、別人だ。カルロスとか特に。)
視聴者は増えそう。ロボはCGだが、ウェブダイバーよりはゾイドって
感じで、なかなか動いてくれそうでこれも悪くない。
パっと見ての感想は、見目麗しくなった超神マスターフォースといったところか。