クラッシュギアニトロ

 
最終回。マサルは最後までぎゅんぎゅーんとかにゅわーとかそんなことばっかり言ってました。
電波バトルに終始したので、ギンジロウのアドバイスとか全部意味なし。
何のためにいたんだオッサン。最初はクラッシュキッドとして鳴り物入りで登場したのに。
巴戦三戦目のこの試合で、マサルが阿久沢に勝ったため、まさかの無限ループバトルに突入、
で、後の試合経過はセリフで説明、三日目にマサルの勝ちで終わりましたとさ。
 
これだけなんである。
でも、これだけじゃなんだからちょっと真面目に書くと、ホビーモノアニメの定石を
外して外してたどりついたのがこのラスト、という気がする。
ターボと別の路線、かぶらないようにってのを良くも悪くも強く意識していたのかなとも思う。
 
まずはバトルを言葉そのままの戦い、として盛り上げようとはしてなかったってのが一つ。
マサルにとっては、"戦い"では全くなく"遊び"なんだよな、ギアファイトって。

それともう一つ。定石外しと言っても、ライバル側(この番組の場合は阿久沢)が主人公に感化されて
ホビーの本当の楽しさに目覚め、心を開く、という部分を見ればすごい王道なんだけど、
主人公側が徹頭徹尾そのための触媒としてだけの存在だった、ってのがこれの変わってるとこだ。
マサルは阿久沢に変化を促すだけ。ニトロはマサルではなく阿久沢の物語だったんだな。
マサルが1個の人格というよりも、阿久沢その他のキャラを取り巻く状況そのものと化したのは
ニトロが物語に登場してからで、そうなってからのマサルって実は没個性的だったと思う。
はっきり言ってレオンと互換可能。
レオンは、シリーズ後半になってからは背景キャラと化してたけど、それは彼が
"マサルにとってのマサル"、マサルがニトロ操るようになるための触媒キャラだったから。
マサルがぎゅんぎゅん言い出した時点で役目終わってたのだ。

国府田周りのエピソードが楽しく見られたのは、国府田は阿久沢よりもマサルとの間に距離があって、
それこそ王道なホビーアニメの盛り上がりを見せてくれることができるキャラだったからってのが
大きいかったのかもしれない。でも、同時に紛れもなくニトロ世界の住人でもあった、バランスの
良いキャラだったのかなと。
 
こんなことを放送中考えながら見てたわけではない。頭使わずにノリで楽しむアニメだし。
ただ、色々と考えてしまう最終回だったのだ、なんか自分の中では分類不能な最終回。
こういうのは初めてだ。
通常、ラストバトルと言って期待するようなカタルシスはないし(そっち方面を極めたのがターボの最終回)
普通に見てるとなんだこりゃおいおい的肩透かし感は免れがたいと思うも、一方でラストまでこのアニメに
付き合ってきてた視聴者なら、ニトロらしい、と感じる人もかなりいるんだろう。
"らしさ"は確実にあった。両方の感情が自分の中にあるので、なんとも妙な気分だ。
 
ただ、先生出番ねえよ、ってのは冗談として各キャラ後日談的な余韻がなさすぎたかな、あると
嬉しかったなってのと、最後のヒデの「しょうもねえ」というセリフ。
あれは明らかに蛇足だった。てれ隠しかエクスキューズなのかわからんけど、かなりの変化球を
放ってる自覚があって、なおかつ自信は完全にはなかったのかなとか、スタッフの胸の内を
伺わせるようなものは本編中にはいらないっすわ。下司なので勘繰っちまう。
 
なんか否定的な口吻になっちまったけど、楽しかったんよ、実際のところ。
俺は、生半可な変化球よりかは直球が好きなんだなってのも自覚させられたけどね。
色々な意味において面白いアニメだった。