「gil games night」

 
はい、阿鼻叫喚の最終回でございました。
 
エンキドゥ=輝道とオリジナルたちが語る真の目的は、クレンジングフラッドという
言葉のイメージ通り、人類を滅ぼして地上を浄化、進化をやり直すということだった。
人間は壊れてる、いやそうじゃない、いやいや人間の本質は臆病卑劣傲慢だ、
てな問答はあまりにありがちで、結局そこに落ちちゃうのかよと思ったら、
ここからが本番だったようで。
私は私の知ってる円輝道にもう1度会いたいだけ、と前出の問答を断ち切って
詰め寄る伯爵夫人の前で、エンキドゥは風祭の放った矢に背後から貫かれる。
そしてエンキドゥの中に潜んでいたティアが出現するが、少女のシルエットを
形作る光体であるそれの正体は、デルフィスが伯爵夫人の深層心理から産み出したもの。
言わば彼女の分身で、輝道を奪った梓への嫉妬と輝道への執着が全ての元凶だったのだ。
藤崎曰く、「全てはあなたとティアのいんちきゲームだ」。劇中でも再三言われてたが、
なんともスケールの大きい茶番劇であることよ。
どうでもいいが、風祭に網で捕獲されるティアには笑った。水木しげるの漫画で、
ヒトダマを虫取り網で獲ってたの思い出したよ。
 
後は殺戮の嵐。徐々に降下してくるシェルタリングスカイ、その耐え難い圧迫感の中で、
神獣化したギルガメッシュたちとオルガ、ブラッタリア入り乱れての死闘が繰り広げられ、
乱戦の中誰もがバタバタと倒れていく。
麗子はギルガメに引き裂かれ、透はそれを見て自爆、風子も藤崎も、そしてついには
竜也までも。どいつもこいつも背後に気を配らなさすぎだ、しっかりしてくれよと
叫びたくなるくらい見ててツライ。
風子の竜也に向かっての「あんたに会えて良かったよ」とか、風子の死を見て逆上した
藤崎の「こういうのを感情って言うんだな、僕にはないと思ってた!」とか
ルーツを確認して過去を乗り越えた今の彼らだから、こういうのが今際の際の言葉に
なるのだろう、でもそれも全ては虚しいのか。
ほとんど獣性のみの戦闘マシーンと化してるギルガメたちの中で、唯一竜也の手にかかった
ノウェムは、竜也に「姉さんを、彼女を愛していた、それは本当だ」と告げる。
どうもわざとやられたっぽいな。
ティアの道具でしかなかったエンキドゥの更に道具でしかないギルガメッシュのノウェムにも
彼自身のための意志、と呼べるものが産まれてたのだが、それもまた虚しく終わるのみ。
 
成り行きをただ見守るしかなかった伯爵夫人は、風祭を射殺すると、「幕を下ろしましょう」
とエンキドゥの元に歩み寄り、そして抱擁、口付けを交わす。
離れた場所にいる支配人や執事や健全な金融業者の人たちの頭上にも、等しくシェルタリングスカイは
落ちてきて、そして世界は光に飲まれて浄化される。
 
ここで終わり、かと思いきや、恐らくはエンキドゥの言ってた数億年後、全てが
浄化された原初の森の中、紀世子と胎児が融合した繭から目覚める新人類。
姿はまんまねーちゃんだ。そこに近づいてくる、少女の姿をしたティア、
「あそぼ」と声をかけるティアに、姉?は無言で手にした音叉を振り下ろす。
そして、血にまみれた音叉を手に、彼女は狂気をはらんだ笑みを浮かべる。
新しい人類はねーちゃんの思いを、そして同時に人間の人間たる部分を
全て受け継いでしまったのだろう。かくしてティアの思惑と一応言われていたところの
地球の浄化は皮肉な結末を迎えたわけだ。
救いのない茶番劇、確信犯的にふざけてるサブタイが、あながち的外れでなかったと
いうところが物凄い。
 
内容に関して、またそれ以外にも言いたいことがいっぱいあるので、後からまた
項を改めて色々書くこととしよう。